ワシントンDCで見習い医師一年生の長女が三日間だけデンバーに来ている。
彼女がコロラドに来るのは4、5年ぶりだ。大学をカリフォルニアで卒業し、医学学校は東海岸で終わらせ、今は4年の見習い医師コースをまた東海岸で始めたばかりだ。アメリカでは大学一年生から医学は専攻できない。大学を卒業してから医学学校に行くことになっている。
彼女は東海岸の文化は好きになれず、カリフォルニアに戻りたいのだが、せっかくゲットした、彼氏と一緒の有名大学病院のポジションを捨てるわけにも行かないので、悪戦苦闘している。
東海岸に住んだことのない私にはいまいちピンと来ないが、人間や社会が西海岸とはかなり違うようだ。これは彼女だけではなく、他のアメリカ人からもよく聞く。
東海岸はブルジョワ思考で貧乏人に冷たく、地位や名前(血筋)が大きな意味を持っていて、下の人間が上の人間に意見を言うような雰囲気がないそうだ。それに比べて西海岸はオープンマインドで、新しい考えが受け入れられ、個性が重視される。長女にとって英語は第二言語だが、西海岸にいたときは自分の訛りが気にならなかったが、東海岸に移ってからは訛っているだけで差別をされているような気がして、意識してしまい、意識すればするほどますます訛ってしまうという悪循環にも陥ったとか。
医師という職業は想像以上に大変そうだ。医学学校もキツそうだったが、それがやっと終わっても見習い期間が4年もあり、その間は週に80時間働くことなどはよくあることで、90時間以上働いてはいけないと法律で決まっているのだそうだ。90時間! それでも90時間以上になることもあり、それを正直に労働時間表に記入すると、90時間以内に書き直させられるのだそうだ。それははっきり言って法律違反なのだが、これまでそれに抗議した学生は見習いコースをクビになり、他でも雇ってもらえなくなったのだそうだ。アメリカは一般的に日本より自分の意見や権利を主張できる社会だと思うのだが、医師の世界はまた独特のものであるようだ。
昨日は長女とボルダーの古い友達と生まれたばかりの赤ちゃんを訪ねた。